ドンキイ探検隊
お茶湾
初版98.7.12
「わたしたちお茶湾までいって、そこで二度目の朝ごはんをたべたの。
お茶のついたほんとのごはんよ。 」
アーサー・ランサム
『ツバメ号とアマゾン号』より
お茶湾って、どこ？
『ツバメ号とアマゾン号』第10章「休戦交渉」P141で、おしゃべりなペギイが半ページにわたってしゃべっていますが、その中に《お茶湾》という地名が出てきます。
>>わたしたちお茶湾までいって、そこで二度目の朝ごはんをたべたの。
（We sailed on to Tea Bay and had our second breakfast there,）
このお茶湾（Tea Bay）って、どこなんでしょう？
私の記憶違いでなければ、《お茶湾》という地名は、この１回しかでてきません。ペギイがこの台詞を言ったのは、アマゾン海賊がツバメ号のキャンプを襲撃して、休戦交渉が始まった時です。場所はヤマネコ島で、時刻は朝です。ジョンがディクソン農場から牛乳をもらって帰り、ティティとロジャが上陸地で水あびをした後です。もう少し、ペギイの台詞を見てみましょう。
>>わたしたちはきょうまた、あなたたちを見にきたのよ。そしたら煙が
>>あがっていないので、もういってしまったんだと思ったの。きっとみ
>>んなねむってたのね。そしたら上陸地にあなたたちの船が見えたの。
>>わたしたちお茶湾までいって、そこで二度目の朝ごはんをたべたの。
>>それから岸にそって、はいながら進んでいくとあなたたちのひとりが
>>船でどこからか帰ってくるのが見えたの。ほかの人たちは水あびして
>>たわ。すると、みんないなくなっちゃったのでわたしたちは船にはい
>>もどってまっすぐ港に乗りつけたの。
アマゾン号が出発したのは、当然のことながらベックフットです。ヤマネコ島の上陸地は島の東側にあって、湖の中央からは見ることができません。つまり、アンゾン号はヤマネコ島とサメ湾の間（島の東側）を通過しています。この時はまだ、ツバメ号の４人はぐっすりと寝ていました。
私は最初、お茶湾とは馬蹄湾のことではないかと考えたのですが、馬蹄湾はヤマネコ島の西の対岸にあって、そこからはどうやっても上陸地を偵察することはできませんし、ジョンがディクソン農場から戻るのも見ることはできません。
となると、お茶湾はヤマネコ島の東の対岸（ディクソン農場がある岸）にあって、アマゾン号がベックフット（ヤマネコ島の北）からやってきて上陸地の前（サメ湾）を通過していることから、サメ湾よりも南にあると考えられます。
これはちょうど、ツバメ号の４人が炭焼きの野蛮人を訪ねるために上陸したあたりではないかと思われます。ここに小さな湾があって、船を入れることができるのなら、そこから船を降りて“岸にそって、はいながら”偵察に行けば、ヤマネコ島の上陸地を見ることができますし、位置的にも“まっすぐ港（秘密の港）に乗りつけ”ることもできます。
でも、問題はそこあたりに小さな湾があるという描写が他に見つからないことですね(^^ お茶湾って、どこなんでしょう？
お茶湾を探す
北部の湖が一望できる『スカラブ号の夏休み』の表紙裏にある地図で検討してみると、馬蹄湾の対岸あたりにある湖にゆるやかにまるく迫り出した岸から、さらに南に下がると、ヤマネコ島の上陸地を見通すことがギリギリでできなくなるのです。
ですから、お茶湾が存在する可能性があるのは、湖の東岸で、ディクソン農場前のサメ湾よりも南で、上記の「馬蹄湾の対岸あたりにある湖にゆるやかにまるく迫り出した岸」よりも北ということになります。
でもって、えへへ、見つけました！ 『ツバメ号とアマゾン号』第28章「ウの島の宝」P418です。ティティとロジャがウの島へ宝探しに行き、フリント船長達はボートに乗って鯨捕りをしています。ティティの台詞です。
>>「みんなフリント船長のボートにのってるわよ。あそこ、ほら。サメ湾
>> じゃないわ。わたしたちがヘビをかってる野蛮人にあいにいった時通
>> りすぎた小さな入江よ。」
やっぱり、野蛮人に会いに行った時に上陸した岸の近くに小さな入江があるのです。でもって、それらしい入江でツバメ号の４人はたきぎ集めをしています。第14章「フリント船長の手紙」P194で、炭焼きの野蛮人に会った後、上陸した岸でお昼を食べ、その岸にあるたきぎを集めてしまうと、船を入江に移動させています。
>>まもなく、その岸辺の区域にあったいちばんよいたきぎを、全部ひろっ
>>てしまうと、四人はツバメ号に乗りこんで岸ぞいにこぎ、こんどは岸辺
>>が枯れ木で茶色になっている入江に乗り入れた。
この入江で、ティティが“誰も残して行きたがらなかった”小さな枯れ木をまるまる１本見つけています。ここがお茶湾かどうかの確証はありませんが、同じページにティティが枯れ木を引きずっているイラストがあります。
このイラストの右端に小さくヤマネコ島が見えていて、ここなら船を入江の奥深くに隠し、岸辺をはって入江の端まで進めば、ヤマネコ島の上陸地を偵察することができます。どちらにせよ、お茶湾はこの近くであることは間違いないと思います(^^
ちなみに、この話題はNIFTY-ServeのFSHIP-16番会議室（
てぃーるーむアーサー・ランサム
の項参照）で討論されています。
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