ドンキイ探検隊

スーザンのかきたまご

初版99.1.10

スーザンは、じゅうじゅういっているバターの中に、生たまごをあけた。
そして上からこしょうをふりかけ、塩を少し入れて、たまごとバターをか
きまぜた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
「かたまりはじめたわ。」と、注意ぶかく見ていたティティがいった。　
「うす皮ができはじめたら、たえず底からかきとっていなければだめよ。
　ジャクソンおばさんがそうしてるのを見たわ。」　　　　　　　　　　

アーサー・ランサム
『ツバメ号アマゾン号』より

スーザンは卵のバタ焼きが得意？

　スーザンは『ツバメ号アマゾン号』第２章「準備」で、卵のバタ焼き（buttered eggs）が一番得意だと言っています。

>>「わたし、たまごのバタ焼きがいちばん上手だわ。」
>>「ほんとかね？」と、ジャクソンおばさんはいった。「たいていの人
>>　は、ゆでるのがいちばんとくいだがねえ。」
>>「そうよ。ゆでるのなんて問題じゃないわ。」
　　－－『ツバメ号アマゾン号』第２章「準備」P31－－

　ところが、実際にキャンプでスーザンが作っているのは、卵のバタ焼きではなくて、かきたまご（scrambled eggs）なのです（食事の献立の項参照）(^^

『ツバメ号アマゾン号』第４章「かくされた港」P63

‥‥スーザンは、じゅうじゅういっているバターの中に、生たまごをあけた。そして上からこしょうをふりかけ、塩を少し入れて、たまごとバターをかきまぜた。‥‥

『ツバメの谷』第２章「ヤマネコ島」P35

‥‥スーザンはフライパンでものすごくたくさんのかきたまごをつくり‥‥

『ツバメ号の伝書バト』第18章「白い丸」P256

‥‥スーザンが、フライパンの中に十六個のたまごをつぎつぎおとして、ものすごくたくさんのかきたまごをつくっておいてくれた。‥‥

『海へ出るつもりじゃなかった』第24章「たのしい航海」P256

‥‥スーザンは‥‥大きなフライパンをとると、のこりのバターをとかして、たまごを六つわって入れ、フォークでかきまわした。‥‥

『ひみつの海』第６章「はじめて野蛮人の気配」P74

‥‥スーザンは、フライパンにたまごを七つおとして、かきたまごをつくりはじめたが‥‥

『ひみつの海』第11章「戦争か探検か？」P165

‥‥「お夕飯ができたわ。」さっきからかまどのところでいそがしくはたらいていたスーザンがいった。「かきたまごよ。」‥‥

卵のバタ焼きとかきたまご

　スーザンが一番得意だという卵のバタ焼き（buttered eggs）と、彼女が実際に作っているかきたまご（scrambled eggs）は同じものだと思われます。
　まず、プライパンにバターを溶かし、生たまごを入れて、塩と胡椒をふって、あとはかき混ぜるだけ。たしかに、これは“パーチのバタ焼き”“サメのバタ焼き”“ニジマスのバタ焼き”と同じ料理方法ですから、“卵のバタ焼き”と呼んでもさしつかえはないでしょう。

　ところが、ピールさんが質問されたのですが、普通のスクランブルエッグには牛乳を入れて、ふんわりと作るものなのだとか。となると、スーザンが作っているかきたまごは、日本の“煎り卵”の半熟版なのかもしれませんね。

スーザンのかきたまご

　ところで、スーザンはなぜ卵のバタ焼き（かきたまご）が得意なのでしょう。
　その答を見つけたような気がします。ウォーカー中佐の好物がかきたまごなのです。だから、スーザンはかきたまごが得意なんですよ、きっと(^^

>>「かきたまごはあしただと思っていたんだ。きょうたべられるとは思っ
>>　ていなかったな。」
　　－－『海へ出るつもりじゃなかった』第24章「たのしい航海」P391－－

　ちなみに、この話題はNIFTY-ServeのFSHIP-16番会議室（てぃーるーむアーサー・ランサムの項参照）で討論されています。

ホームページ（目次）に戻る