ドンキイ探検隊
『ツバメ号とアマゾン号』旗艦争奪バンジー
初版98.1.1／改訂04.9.5
＜目次＞
バンジーゲームとは
インターネット上でのネットゲームが一般的になった今では、もうあまり見かけなくなってしまいましたが、郵便を使ったゲームがあります。ジャンルは様々。チェスや将棋から推理物もあればアクションゲームだってこなします。ここで紹介するバンジーゲーム（バンジージャンプ）とは、数当て遊びに小説をミックスさせたゲームで、『Postal Tale』という老舗の同人ゲーム誌にて運営されているゲームです。
ゲームの構造はいたった単純です。バンジージャンプというスポーツ（？）をご存じでしょうか。高い塔の上から足にゴム紐を付けて真逆様に飛び降りる、あの人気のスポーツ。
プレイヤーはバンジージャンパーです。プレイヤーが選ぶのは２つの数字。塔の高さ（０から９９）と紐の長さ（５１から９９）。複数のプレイヤーが参加するゲームですので、全員が出した“塔の高さ”を平均した数値が実際の塔の高さになります。で、自分が決めた長さの紐を付けて飛び降りるというわけ。
紐が長すぎると地面に激突してアウト。参加したプレイヤーの中で一番地面近くまで飛び降りた人が優勝者となります。ゲームマスターはプレイヤーの送ってきた２つの数字とコメントを元に、ゲーム全体を小説風に表現して発表するのです。
ゲーム予告とルール説明
あなたは１０才前後の子供です。
兄弟姉妹たちと一緒に、長い夏休みを北部の湖水地方で過ごそうとしています。ここに着いたその日に、あなたたちは湖の真ん中に小さな無人島を発見します。お母さんの許しを得て、小帆船でその島に上陸したのですが、他の子供達も上陸していました。
一緒に遊ぶにしても、旗艦を決めなければなりません。みんなで相談して、みんなの船を今日の夕方、湖尻に集めておき、翌日もっとも早くみんなの島（海猫島）に到着した船を旗艦とすることになりました。
さて、その夜、あなたは気づいたのです。翌日一番に海猫島に到着した船が旗艦だと言ったけれど、何時に出発とは決めなかったぞ、と。じゃあ、今晩から出港しておけば‥‥。あなたはお母さんに内緒で、兄弟姉妹たちをそっとベッドから起こし、みんなでちょっぴり危険な夜間航海の冒険に乗り出したのです！
基本はバンジージャンプですが、【勇気】【経験】【判断力】によって、いろいろな特典や補正が発生します。また、このバンジージャンプは個人戦ではなくて団体戦です。
子供達が持っている照明は懐中電灯だけです。あいにくの曇り空で、真っ暗な夜です。湖には海猫島の他にもいくつかの小島があります。無闇に航海すると、実はとても危険です。
参加希望者は、以下の項目を申込用紙に記入して下さい。
１）プレイヤーの名前と会員番号
２）キャラクターの名前
姓と名の両方が必要です。姓の方は、強制的に変更（年令の項を参照）される場合があります。
また、マスターの趣味と独裁的強権発動により、『ツバメ号とアマゾン号』シリーズに登場する名前は却下しますので注意して下さい。もっとも、知らずに選ぶような名前ではありませんので、『ツバメ号とアマゾン号』シリーズを知らない人は、それほど気にする必要はありません。
３）キャラクターの性別
４）キャラクターの年令
６才から１５才の間で選んで下さい。同じ船に乗り込んだ（運命数の項を参照）子供達は皆、兄弟姉妹です。最年長者の姓が、全員の姓になります。最年長者が複数いる場合は、【判断力】がより高い者になります。判断力値も同じ場合は、彼らはキャンセルされて次の年令の者の姓が、全員の姓になります。
５）キャラクターの勇気
物事に立ち向かう剛胆さです。０から９９の間で、【勇気】【経験】【判断力】の合計が９９になるように選んで下さい。
同じ船に乗った兄弟姉妹で勇気値が最も高い者が船の名前をつける権利を得ます。最高値者が複数いる場合は【年令】がより低い者になります。年令も同じ場合は、彼らはキャンセルされて次の勇気値の者となります。
同じ船に乗った兄弟姉妹で平均した平均勇気値が平均判断力値を上回ると、本船は蛮勇の船となり、海猫島にぶつかった場合、座礁沈没することになります。平均勇気値が平均判断力値以下だと、本船は勇気の船となり、海猫島にぶつかる場合であっても、その勇気で衝突を回避（補正あり）できるかもしれません。また、運悪く海猫島にぶつかっても座礁するだけで沈没は免れます。
６）キャラクターの経験
小帆船を扱う経験です。０から９９の間で、【勇気】【経験】【判断力】の合計が９９になるように選んで下さい。
同じ船に乗った兄弟姉妹で経験値が最も高い者が船長になります。最高値者が複数いる場合は【年令】がより高い者になります。年令も同じ場合は、彼らはキャンセルされて次の経験値の者となります。船長の次が航海士、ドンジリがボーイ、それ以外はＡＢ船員になります。
同じ船に乗った兄弟姉妹で平均した平均経験値が平均判断力値を上回ると、本船は自信過剰の船となり、海猫島に届かなかった場合、漂流した末にどこかに座礁して沈没することになります。平均経験値が平均判断力値以下だと、本船は熟練の船となり、海猫島に届かなかった場合であっても、その経験で漂流を回避（補正あり）できるかもしれません。また、運悪く漂流してもちゃんとどこかで無事停泊できます。
７）キャラクターの判断力
自分の能力を正確に見極め、不慮の事故から船を守る判断力です。０から９９の間で、【勇気】【経験】【判断力】の合計が９９になるように選んで下さい。
８）乗り込む小帆船の名前
好きな名前をつけて下さい。ただし、望む名前がつけられない（勇気の項を参照）こともあります。
また、マスターの趣味と独裁的強権発動により、『ツバメ号とアマゾン号』シリーズに登場する名前は却下しますので注意して下さい。もっとも、知らずに選ぶような名前ではありませんので、『ツバメ号とアマゾン号』シリーズを知らない人は、それほど気にする必要はありませんが、念のために言っておくと、ツバメ号とアマゾン号は『ツバメ号とアマゾン号』シリーズに登場しています。
９）運命数
主に風に関する運です。０から９９の間で選んで下さい。
下１桁の数字が同じキャラクターは、同じ船に乗り込む兄弟姉妹になります。
１０）海猫島までの距離
０から９９の間で選んで下さい。全員の平均値が実際の海猫島までの距離となります。
１１）操船距離
海猫島までの予想距離です。５１から９９の間で選んで下さい。同じ船に乗っている兄弟姉妹の平均値操船距離に補正を加えた値が、実際の海猫島までの距離よりも多いと座礁、大幅に少ないと漂流します。実際の海猫島までの距離以下であって、もっとも近い値の船が旗艦となります。
１２）決め台詞
旗艦になった場合とか沈没した場合とか、自分で好きな状況を指定して、その時の決め台詞を書いて下さい。いくつ書いてもいいですが、全部が採用されるとは限りません。
１３）自由項目
船や海猫島、家族のこと、操船方法や作戦など、自由に書いて下さい。ただし、全部が採用されるとは限りません。
ゲーム結果：データ編
《総合結果》
海猫島までの距離：56.86（許容範囲-5：51.86〜56.86）
子供達の数 ：59人
小型帆船の数 ：16隻（うち沈没10隻、座礁３隻）
無事到着した船 ：３隻
旗艦決定 ：フェルナンデス家のムルキラ号
《記録いろいろ》
一番勇気ある船 ：沖田家のグリーンサンスター号（36.3）
一番経験ある船 ：タレイラン家のウェンディ号（27.2）
一番分別ある船 ：フルヘッホ家のスタードラゴン号（64.0）
最も蛮勇の船 ：ジョーンズ家のカルディネア号（70.4）
最も自信過剰の船：ランソン家のロッケンロール号（34.6）
一番勇気ある人 ：ジェニファー・ジョーンズ（40）
一番経験ある人 ：ケイト・フラッシュ（39）
一番分別ある人 ：セバスチャン・フルヘッホ（99）
：千夏・タレイラン（99）
最も蛮勇の人 ：アリス・マクリーン（99）
最も自信過剰の人：瞳・ステイシア（77）
最年少船長 ：瞳・ステイシア（07）
最年長ボーイ ：アリス・マクリーン（15）
：メイヤー・ステイシア（15）
《海猫島に無事到着した船：３隻》
『ムルキラ号』 フェルナンデス家
年令 勇気 経験 判断
船長 ダンテ 長男 14 33 33 33
航海士 崇徳 次男 08 20 10 69
AB船員 アナ 長女 06 29 10 60
平均 27.3 17.6 54.0
コメント）
船の命名はダンテ
ラディアン家とは親戚関係にあたる
結果）
帆走距離：56.54（風の影響：+0.21）
海猫島に無事到着、旗艦就任おめでとう
崇徳＆アナ「やったぁ！海猫島だぁ！」
『グリーンサンスター号』 沖田家
年令 勇気 経験 判断
船長 エイハブ 長男 15 33 33 33
航海士 ラメラ 次女 11 66 11 22
AB船員 ハンナ 長女 11 10 05 84
平均 36.3 16.3 46.3
コメント）
船の命名はラメラ、船体はラメラが緑一色に塗った
ハンナとラメラは双子の姉妹
ハンナはお兄ちゃんが大好き
勇気は16隻中最高
結果）
帆走距離：56.02（風の影響：-0.02、勇気補正：-3.63）
海猫島に衝突（勇気の補正有）しそうになったが無事到着
ラメラ 「突っこめ〜！！」
ハンナ 「よかったね、お兄ちゃん‥‥」
エイハブ 「最後にものを言うのは常識です」
神のお告げ「エイハブ、おまえは犬小屋で寝るがよい」
『アイシャガ１番号』 サイサリス家
年令 勇気 経験 判断
船長 ダレル 次男 14 01 60 38
航海士 アンドリュー 長男 15 10 10 79
AB船員 アイシャ 長女 08 49 05 45
平均 20.0 25.0 54.0
コメント）
船の命名はアイシャ「だってあたしが１番なんだもん」
アイヘルスキ家とは親戚関係にあたる
結果）
帆走距離：55.87（風の影響：+0.20、勇気補正：-2.00）
海猫島に衝突（勇気の補正有）しそうになったが無事到着
アンドリュー「落ち着け、勝負はこれからだ」
アイシャ 「行け行け勇気だ突進だー」
《海猫島にぶつかって沈没した船：10隻》
『フロッグフット号』 アイヘルスキ家
年令 勇気 経験 判断
船長 セモリナ 長女 14 24 35 40
航海士 ケイ 長男 12 54 34 11
AB船員 マチルダ 次女 08 33 33 33
平均 37.0 34.0 28.0
コメント）
船の命名はケイ、作戦は猪突猛進で多少の危険は目をつむる
マチルダは旗艦になった時に使う旗を隠し持っている
サイサリス家とは親戚関係にあたる
勇気も経験も十分なんだけど、判断が甘い
結果）
帆走距離：77.30（風の影響：+0.30）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
セモリナ「父さ〜ん、助けてぇ〜」
マチルダ「え〜ん、ママーァ」
『ライジン号』 ミリアン家
年令 勇気 経験 判断
船長 トマス 長男 13 20 20 59
航海士 チェスター 次男 08 80 04 15
AB船員 ドロシー 長女 10
平均 50.0 12.0 37.0
コメント）
船の命名はチェスター
ドロシーは風邪で冒険に参加できず
マーニ家とは親戚関係にあたる
小型帆船の経験が少なくて怖いもの知らず
ドロシーのおかげで、沈没した船は皆救助された。感謝しなさい
結果）
帆走距離：71.05（風の影響：+0.05）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
チェスター「冒険ダァー☆」
トマス 「今日は厄日だ‥‥」
『モーリガン号』 ラディアン家
年令 勇気 経験 判断
船長 ルスティ 長女 13 19 28 52
航海士 ミッキー 長男 07 59 10 30
AB船員 マギイ 次女 06 80 00 19
平均 52.7 12.7 33.7
コメント）
船の命名はマギイ、白地に黒で飛ぶ鴉の旗
フェルナンデス家とは親戚関係にあたる
小型帆船の経験が少なくて怖いもの知らず
結果）
帆走距離：67.51（風の影響：+0.01）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
ルスティ「島にぶつかっちゃったら、元も子もないんだからね！」
ミッキー「ぼくにまかしときなって」
マギイ 「じゃあ、次は南極点一番乗りを決めましょうよ」
『筋肉の悪魔号』 マーニ家
年令 勇気 経験 判断
船長 アイシャ 三女 09 11 32 56
航海士 ミナコ 次女 12 20 29 50
AB船員 リファート 長男 15 25 25 40
ボーイ ロメオ 次男 06 99 00 00
平均 38.8 21.5 36.5
コメント）
船の命名はロメロ、神よりたまわりし無垢の尻を持つ
長女クミル（15才）は都合で家でお留守番
ミリアン家とは親戚関係にあたる
小型帆船の経験は豊富だが、ちょっぴり勇気が勝っている
結果）
帆走距離：64.35（風の影響：+0.35）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
アイシャ「怖いよー、お母さん助けてー」
ミナコ 「あっ！犬にエサやるの忘れて来たわ」
『もけもけ姫号』 フラッシュ家
年令 勇気 経験 判断
船長 ケイト 長女 13 15 39 45
航海士 ジェイク 次男 14 07 38 54
AB船員 アーリー 長男 15 66 30 03
AB船員 ジーン 三男 08 40 20 39
ボーイ キング 四男 06 97 00 02
平均 45.0 25.4 28.6
コメント）
船の命名はキング
ケイトは59人中で最も経験を積んだ船長
船としては、経験は十分なのだが、ちょっと勇気が過剰気味
結果）
帆走距離：64.00（風の影響：-0.40）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
ケイト 「バタ足で島まで行けるかしら‥‥」
ジェイク「あ、ひょっとしてマズイ？」
アーリー「私は命をかけて‥‥いる！」
ジーン 「天気は晴朗だし波も無いのに」
キング 「気持ち悪い‥‥でしゅ」
『女王陛下のユリシーズ号』 マクリーン家
年令 勇気 経験 判断
船長 ミケール 三男 08 33 33 33
航海士 フローラ 次女 06 33 33 33
AB船員 クイン 次男 09 50 20 24
AB船員 アルフレッド 長男 12 60 10 29
ボーイ アリス 長女 15 99 00 00
平均 55.0 19.2 23.8
コメント）
船の命名はアリス、お父さんのお古の軍服を仕立て直して着ている
アリスの得意技（？）は敵艦への体当たり攻撃
お父さんは英国海軍士官
ステイシア家とは親戚関係にあたる
小型帆船の経験は結構あるが、しっかり蛮勇している
結果）
帆走距離：63.40（風の影響なし）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
アリス 「総員帽振れ！！」
フローラ 「アイ・サー！」
アルフレッド「僕は泳ぐのが好きなんだ」
ミケール 「ぶくぶく、ぷくぷくぅ」
『カルディネア号』 ジョーンズ家
年令 勇気 経験 判断
船長 ツバサ 次女 12 67 12 20
航海士 ユーノ 三女 12 80 10 09
AB船員 ジェニファー 長女 15 40 09 50
AB船員 デュラン 長男 12 70 01 28
ボーイ クロード 次男 10 95 01 03
平均 70.4 06.6 22.0
コメント）
船の命名はクロード
ジョーンズ家は富豪
ジェニファーはタカビーなお嬢様だが、59人中で最も勇気がある
デュランはパチンコと盾を持ち込んでいる
デュランとツバサとユーノは三つ児
う〜ん、これはひどい(^^; 経験はないが蛮勇だけはしっかりある
結果）
帆走距離：61.40（風の影響：-0.20）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
ツバサ 「難破主義者は巻貝を耳にあてて潮騒を聞かせ殺すちゃ！」
ジェニファー「トーゼンね」
デュラン 「勇気があればなんでもできるんだ」
ユーノ 「さあみんな！ちゃあんとお姉ちゃんのいうことを聞くのよ！」
クロード 「勇気だ！勇気で乗りきるんだ！！」
『フジツボ号』 ナッツ家
年令 勇気 経験 判断
船長 アンクル 長男 15 23 26 50
航海士 ラルフ 次男 12 29 20 50
AB船員 ロイド 三男 11 89 01 09
平均 47.0 15.7 36.3
コメント）
船の命名はロイド
ランソン家とは親戚関係にあたる
小型帆船の経験が少なくて、ちょっと怖いもの知らず
結果）
帆走距離：60.96（風の影響：-0.37）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
ラルフ 「努力と根性、それに冷静さが加われば怖いものはない！」
ロイド 「チャーヂ、チャーヂ、チャーヂ」
アンクル「こんな時は豆を食べる！」
『ロッケンロール号』 ランソン家
年令 勇気 経験 判断
船長 トーモロコシ 次男 12 27 48 24
航海士 ケイ 長男 14 29 30 40
AB船員 エイリ 三男 08 47 26 26
平均 34.3 34.6 30.0
コメント）
船の命名はエイリ
ナッツ家とは親戚関係にあたる
勇気も経験も十分なんだけど、判断が少し甘い
結果）
帆走距離：59.83（風の影響：-0.17）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
トーモロコシ「もー、おなかすいたよー」
エイリ 「兄ちゃん！オイラのタマシイの叫びを聞いてくれ！」
『古代文明の神秘号』 ステイシア家
年令 勇気 経験 判断
船長 瞳 三女 07 19 77 15
航海士 観一 次男 09 20 30 49
AB船員 ブルース 長男 13 30 29 40
AB船員 グリンデェッタ 次女 08 40 25 34
ボーイ メイヤー 長女 15 68 06 25
平均 35.4 33.4 32.6
コメント）
船の命名はメイヤー
メイヤーは古代史に凝っている、ちょっと困ったお姉さん
ステイシア家はスーパーマーケットを経営している
マクリーン家とは親戚関係にあたる
勇気も経験も十分なんだけど、判断が少し甘い
結果）
帆走距離：57.40（風の影響：+0.40）
海猫島に衝突（勇気の補正無）して沈没
観一 「あはははっ、水が入ってきてプールみたい〜」
グリンデェッタ「飛び込め」
メイヤー 「ついでですから、ちょっと調査してゆきましょう」
瞳 「お姉ちゃん、やっぱりやめたほうがいいよ」
《海猫島にぶつかって座礁した船：３隻》
『スタードラゴン号』 フルヘッホ家
年令 勇気 経験 判断
船長 エッツエル 次男 14 15 50 34
航海士 アツコ・ララ 長女 08 20 20 59
AB船員 セバスチャン 長男 14 00 00 99
平均 11.7 23.3 64.0
コメント）
船の命名はアツコ
セバスチャンとエッツエルは双子の兄弟
ソマーズ家とは親戚関係にあたる
判断力は16隻中最高だが、ちょっと引込み思案かな
結果）
帆走距離：72.17（風の影響：-0.33、勇気補正：-1.17）
海猫島に衝突（勇気の補正有）して座礁
セバスチャン「さあ赴かん、そこに島がある限り！」
エッツエル 「男なら、特攻」
アツコ 「アーン、宝島が目の前なのに」
『ウェンディ号』 タレイラン家
年令 勇気 経験 判断
船長 フレデリック 次男 14 20 49 30
航海士 ゴーバヤー 四男 10 60 39 00
AB船員 オテロ 三男 13 30 30 39
AB船員 ジャン 長男 14 36 18 45
ボーイ 千夏 長女 06 00 00 99
平均 29.2 27.2 42.6
コメント）
船の命名はゴーバヤー
ジャンとフレデリックは双子の兄弟
千夏は急に連れ出されたため、パジャマ姿で枕を抱えている
経験は16隻中最高で、勇気も持ち合わせている
結果）
帆走距離：62.03（風の影響：+0.35、勇気の補正：-2.92）
海猫島に衝突（勇気の補正有）して座礁
オテロ 「島まで一直線」
ジャン 「道をゆずるも紳士のたしなみ」
千夏 「じっとしてたら魚とりさんが見つけてくれるよ」
フレデリック「あったり前だろーが」
『レッツ号』 ソマーズ家
年令 勇気 経験 判断
船長 ヒロキ 長男 10 49 24 26
航海士 ジェシカ 長女 14 39 10 50
AB船員 メイ 次女 06 10 09 80
平均 32.7 14.3 52.0
コメント）
船の命名はヒロキ
フルヘッホ家とは親戚関係にあたる
結果）
帆走距離：61.77（風の影響：+0.37、勇気補正：-3.27）
海猫島に衝突（勇気の補正有）して座礁
ヒロキ 「夏と言えば海！よって丘はいらん」
ジェシカ「やっぱりノロマは溺れるのね‥‥」
メイ 「お姉ちゃんたちのばか〜！」
ゲーム結果：物語編
第１章 もうみんな集まった
今年の湖の辺のキャンプ地は大賑わいだった。総勢５９人もの探検家達が集い、夏休みが終わって元の生活に戻るまでの２週間を、どこをどうやって探検してまわるか話し合っていた。
北部にあるこの地は、いくつもの森や川や山、そして湖が点在し、都会の喧騒を逃れ、自然の中でゆったりと過ごす避暑地としては最適の場所だった。勇敢な探検家である１６組の子供達も、両親とともにこの地を訪れていた。何組かの子供達にとって、この地は初めてではなかったが、観光地から離れたこの静かで大きな湖に来るのは皆初めてだった。
子供達は最初、いつものように両親と一緒に、それぞれ民宿を営んでいる農家に泊まっていた。探索しがいのある薄暗い屋根裏部屋に雑多な物が置かれた大きな納屋、放し飼いにされている鶏にアヒルに人懐こい番犬、そういった目新しいものにおおいに興味をそそられたけれど、何よりも子供達の目を奪ったのは湖の辺の小さな艇庫に納まっている小さな帆船だった。
湖のある地方なので、人々の普通の生活の中でもボートや小型の帆船は珍しいものではない。湖の近くの農家はたいてい艇庫を持ち、ボートや小型の帆船を持っていた。子供達も学校やボーイスカウトや両親から帆船の扱い方を幾度か教わっていた。ただ、これほど冒険しがいのある湖で、これほど愛らしく頼もしい帆船に乗る機会などこれまでに１度もなかったのだ。
両親が見守る中、子供達の帆船の練習が始まった。そして気がつけば、湖のあちこちで同じような練習が始まっていた。子供達の乗った帆船は別の子供達の乗った帆船に出会った。彼らは知り合い、ともにそれぞれの両親を訪ねた。両親達も知り合い、やがてひとつの計画が持ち上がった。湖の辺の私有地のひとつを借り受け、そこで子供達だけでキャンプ生活を送るのである。両親達は交代で日に１度だけ決まった時間にキャンプ地を視察する。子供達も交代で毎朝１回、近くの農家を訪ね、その日の（両親達が準備しておいた）食料を調達する。話は決まった。
一番最後にやってきたナッツ家とランソン家の６人が合流し、探検家達のベースキャンプであるここには３０余りのテントと１６隻の帆船が勢揃いした。探検家とはいえ、子供達の全てが帆船の扱いに熟練しているわけではなかった。ジョーンズ家のように実際に自分達だけで帆船を操るのは初めてというグループもあった。
メイヤー・ステイシアが主張するように湖の周辺に眠る古代の遺跡を発見するにしても、アリス・マクリーンが主張するように１６隻でトラファルガー海戦をやるにしても、まずは皆が一人前の船乗りにならなければならない。子供達の中で最も長く経験を積んだケイト・フラッシュが教官となって、皆の訓練を開始した。
年長者による会議も招集された。年下の者の面倒をよくみて、とにかく負傷者や重病人を出さないこと。そんなことになれば、探検家のキャンプ生活に両親を含む原住民の介入を許し、ただのボーイスカウトのキャンプになってしまう。そして、あらゆる探検の前に、我々の中で旗艦を決めておかなければならない。それぞれの専門家がそれぞれの専門分野で探検隊に指示することはいい。しかし、探検隊を統括し、全体を指揮するリーダーは必要だった。問題はそれをどうやって決めるかだ。
第２章 海猫島
この湖に一番最初にやってきたラディアン家の３人の子供達は、最初の日にその島を発見していた。湖のほぼ中央、お椀をふせたような緑の小さな島だ。その上空には鳶が舞っていて、末っ子のマギイは「海猫が暮らしている海猫の島ね」と言った。
長女のルスティはすぐにでも帆船で行ってみたかったが、まだ幼い弟と妹を連れて上陸する自信はなかった。彼女は帆船の経験は十分あったのだが、帆走はともかくも、桟橋のない場所に船を着岸させるのはとても難しい。船員が経験の浅い者達であるならなおさらだ。弟のミッキーとは何度か帆走したことがあるが、マギイはまだ一度も帆船に乗ったことはないはずだ。
探検家達のベースキャンプからも海猫島は見えた。風さえよければ３０分も帆走すれば到着できるだろう。湖には島はいくつもあったが、海猫島はまさに大洋に浮かぶ無人島という観があった。
探検家達の多くは最初の探検は海猫島にしようと考えていた。遠くもないため、帆走の訓練の最後のおさらいとしても適当だった。ただし、ケイト・フラッシュは、まず着岸可能かどうかを調べないことには訓練生の上陸は認められないとクギを刺した。
海猫島の第一発見者であるルスティ・ラディアンは、皆が島を探検することには何の不満もなかったが、最初の上陸者は自分であるべきだと考えていた。そこで、探検の先発隊を送ることを提案し、自らその任にあたることを志願した。他の探検家達も異存はなかった。マギイ・ラディアンは、私が名前をつけた島だから私にも行く権利があると主張した。ちょっと困ったようなルスティの顔を見て、彼女と仲のいいミナコ・マーニが協力を申し出た。ミナコなら自分以上に帆走の腕はいい。ルスティはほっとしてミナコに手を振った。マギイは二人のやりとりを息をひそめて見守り、同じようにほっとした。こうなっては考古学者であるメイヤー・ステイシアも黙ってはいられない。埋もれた遺跡が勇敢だが専門知識に欠ける探検家達によって踏み荒らされることだけはどうしても阻止せねばならないのだ。
年長者会議で海猫島探検の先発隊は許可された。船はラディアン家のモーリガン号となった。船長はルスティ・ラディアン、航海士はミナコ・マーニ。同乗するのは考古学者メイヤー・ステイシア、それに島の名付け親マギイ・ラディアンの２人である。
マギイはモーリガン号のマストに旗をあげた。白地に黒で翼を広げる鴉である。朝食後、すっかり準備の整ったモーリガン号は皆に盛大に見送られて出港した。
昼食用のお弁当も用意してあった。ビン入りのレモネード、ゆでたまご、ペミカン（コンビーフ）のサンドイッチ、ママレード、そしてデザートのリンゴである。焚火は今回はまだやらない予定だった。正式なかまどを作るには時間がかかるし、正式なかまどなしでは焚火は危険なのだ。
順風だった。船は湖面を滑るように走ってゆく。
「島には夜行性の肉食獣がいて、とても危険かも」と、舵を握り、一心に島の方向を見つめているルスティが楽しそうに言った。
「島にはね、まだ見たこともないような原色の果実が一杯なっているのよ」と、ミナコが笑いながら応えた。メイヤーはノートにメモするのに忙しく、二人の会話は聞いていなかった。マギイもまた、初めての帆走に夢中で珍しく押し黙っていた。
島が近くなった。上陸場所を探さなければならない。ルスティは島の周囲を回ってみることにした。島は木でおおわれていたが、島のまわりは岩だらけだった。下手に近寄ると座礁してしまう。上陸できそうな場所が見つからず、なかばあきらめかけた時、小さな入江が見えた。そこだけは砂地のようだ。
「転回用意！」と、ルスティが言った。メイヤーとマギイがぴょこんと頭を下げる。ミナコは素早くメンシートをたぐり寄せ、ブームが頭上を通り過ぎると同時にくり出した。モーリガン号は入江に真っ直ぐに向かった。メイヤーとマギイは目を皿のようにして、湖底の岩を見張っている。
「降帆用意、降ろせ！」と、ルスティが言った。ミナコがあげ綱をゆるめ、帆を降ろした。帆は船上に折り畳まれてゆく。モーリガン号は惰性でそのまま進み、砂地に船首を乗り上げた。
「到着！」と、マギイが言った。
第３章 アーサー王の岩
４人はモーリガン号を太い木の幹にもやい綱でしっかりと固定すると、海猫島に上陸した。入江の狭い砂浜から、木々の隙間となっている階段のような岩場を登ると、そこは頭上も周囲も木でおおわれ、木洩れ日が草の上を踊る、テントなら３つか４つは立てられそうな広々とした空間になっていた。４人は歓声をあげた。探検隊全員がキャンプすることはできないけれど、みんなきっと喜ぶだろう。ここは原住民達が特別な儀式に使う特別な場所に違いない。
マギイの大きな声に、散らばっていた３人は慌てて駆け戻ってきた。マギイはメイヤーを呼んでいたのだ。見つけたと言っている。マギイは島の東端にいて、足元を指差していた。そこには高さ３０センチ、縦横５０センチほどの四角い岩があった。この岩は地表に置かれているのではなく、もっと大きくてずっと深く地中に埋まっているようだった。上側の面のほぼ真ん中には斜めに深い亀裂があり、元はそこに何かが突き刺さっていたのかもしれない。
「アーサー王の岩よ」と、マギイが宣言した。
「ここに昔、王の剣が立っていたの」
「相当に古いものね。先史時代、いえもっと前の神話時代のものである可能性もあるわ」と、膝をつき、岩の表面を調べていたメイヤーが言った。メイヤーはポケットからスカウトナイフを取り出すと、刃を伸ばし、そっと岩の亀裂に差し込んでみた。ナイフの刃は柄の部分まですっぽりと亀裂に入ってしまった。
「そうね、この岩こそ、あの伝説の剣が突き刺さっていた岩かも‥‥。そう、そして、このナイフを最初に抜いた者こそ新しい王になるのよ」と、メイヤーは言い、怪訝そうな顔つきの３人にむかってにっこりと笑ったのだった。
少し早目の昼食をすませ、モーリガン号はベースキャンプに帰港した。先発隊の探検は大成功だった。海猫島の上陸地が見つかり、原住民の神殿（ちょっと誤解があるようだが、とメイヤー）まで発見したというのだ。
そして、メイヤーの密やかなアイデアは年長者会議に提出され、満場一致で可決された。皆が興奮していた。一番に海猫島に上陸し、アーサー王の岩から最初にナイフを抜いた者こそが探検隊のリーダー、すなわち旗艦となる！ これこそ旗艦を決めるにふさわしい方法だ。
メイヤーの説明によると、アーサー王の岩は海猫島の東端にあり、海猫島を照らす朝日が最初に当たる場所に位置するのだという。レース開始は明朝、日の出の１時間前、海猫島の入江は小さいので、上陸ではなく海猫島を１周することで順位を決めることとになった。順位が決まったなら、全船は海猫島に上陸し、朝日の中、旗艦となる船の船長がアーサー王の岩からナイフを抜くのである。
第４章 曇りのち晴れ？
夜明け前で、あたりはまだ暗い。東の空の遠い山々と接するあたりがわずかに白くなり始めている。雲っているのだろうか、まだ見えているはずの星がひとつも見えない。いつもより暖かい朝だった。ちょっと湿っぽい感じはするが、目を凝らして見れば、空の雲の色は黒くなく、雨になる気配はない。
探検家達は自分達の船の準備にかかっていた。天気予報では今日は晴れるはずだった。今はまだ雲っていても、きっとレースが終わる頃には晴れるに違いない。ただ、慎重なセバスチャン・フルヘッホは今朝の大気の様子には首を傾げていた。何かおかしい。たしかに、空にあるのは雨雲ではなさそうだ。東の空からだんだん明るくなってきているから、レースが始まる頃には暗くて湖面が見えないということもないだろう。でも、この湿っぽさと暖かさはいつもと違う。何なのだろう。
風は弱かったが、帆走できないほどでもなかった。湖面を滑るように走るというわけにはゆかないだろうが、帆走の訓練の成果を試すには、むしろこの方がいい。
空の周囲が明るくなり、湖の面はその明かりを映して鈍く光っていた。その光の中に湖を取り巻く森が影絵のように浮かび上がり、そして目指す海猫島は湖の中にくっきりと見えていた。
「さあ、みんな、出発だ！」
合図とともに、横一線に並んだ１６隻が一斉に帆をあげた。ちょっともたついた船もあったけれど、それぞれが風をうまくとらえ、海猫島を目指して帆走を始めた。
ドロシー・ミリアンはいかにも悔しそうな顔で、みんなを見送った。彼女は昨夜から風邪気味で、今日のレースの参加は見合わせるように兄弟から強く求められたのだ。たしかに、彼女が寝込むようなことにでもなればベースキャンプ全体に迷惑がかかる。昨日の先発隊に参加した従姉妹のミナコ・マーニから、島のすばらしさを詳しく聞いていただけに悔しさもひとしおだった。
一方、ドロシーとは対照的に千夏・タレイランは文字通り夢見心地だった。興奮して昨夜はほとんど眠れず、今朝は起きられなかったのだ。双子の兄ジャンとフレデリックは、まだパジャマ姿で枕を抱えたままの千夏を毛布にくるみ、船に積み込んだ。そのままキャンプに寝かせていたりしたら、あとで彼女がどんな大騒ぎを演じるかよくわかっていたのだ。
先頭を走っているのはタレイラン家のウェンディ号だった。１艇身差で追うのはケイト・フラッシュが船長を務める“もけもけ”号だ。末っ子キングの命名による“もけもけ”については、キャンプの誰もが一度はその意味を尋ねるのだが、キングはにやっと笑うだけで答えず、他の兄弟達には答えようがなかった。
ミリアン家のライジン号は出遅れていた。意気上がる弟のチェスターと慎重な兄トマスの息が今ひとつ合っていないようだ。ああ、私さえ乗っていれば！ ドロシーは双眼鏡でレース展開を追いながら、地団駄踏んでいた。
双眼鏡を海猫島に向けた時、ドロシーは首を傾げた。さっきまであれほどきれいに見えていた島が、今は白いモヤにかすんで見えないのだ。そして、あっという間にその白いモヤは湖をおおいはじめた。まるで湖面に広がるクリームのようだった。これは雲でもクリームでもない。濃い霧、ガスだった。
第５章 白い闇
船は次々とガスに飲まれていった。急に現れた白い壁にぶつかってゆくようなものだ。景色が突然そこで途切れ、全てが白い闇に閉ざされてしまう。わずか３ｍ先の船の舳先すらかすんでいる。
風もぱたっとなくなった。帆は垂れ下がり、船の動きが止まって、やがて舵もきかなくなった。もっとも舵が効いたところで、どっちへ進めばいいのか方向がわからなくなっていたのだが。
年少の探検家たちは、少しの間、恐怖にかられ息を飲んだ。兄や姉に声をかけ、手を伸ばしたりした。だが、ベースキャンプの腕白グループ、ラルフ・ナッツ、クロード・ジョーンズ、ゴーバヤー・タレイランの３人が大声でお互いに呼びかけ合いながら、オールで漕いでなおも進もうと提案した時、みんなその気になってしまった。すかさず、ジェシカ・ソマーズとメイ・ソマーズの姉妹が見通しのきかない航海の危険さを説いた。暗礁はもちろん、島をはじめ岸にだって船がぶつかることだってあるのだ。
船長達は船員達に周囲の警戒を指示し、ゆっくりとオールで漕ぎだした。多少のアクシデントはあったとしても、これは旗艦を決める大事なレースなのだ。羅針盤で海猫島があったはずの方向を見定め、周囲のオールの音と話声でお互いの位置を確かめ合いながら、陽気に漕ぎ続ける。
古い形の小型帆船にはオールが装備されている。だが、小さいとはいえ、帆船をオールで漕ぐのは並大抵のことではない。ひとりが息切れすると別のひとりに交代する。こうなってくると、船員の数が多い方が有利だった。
３０分も漕いだだろうか。方向さえあっているなら、もう海猫島は近いはずだった。経験豊かな船長達がまず気づいた。マストの先の旗を少しだけ動かし、ほほをそっと撫でるものがあった。風だ。風が戻ってきたのだ。
これが旗艦を決めるレースでさえなければ、またガスにまかれるというアクシデントさえなければ、ああいう事態にはならなかっただろう。しかし、風に気づいた船長達は一斉に帆を上げることを命じた。
濃い霧は発生したのと同じくらい急に流れ去った。探検家達は彼らが思っていた以上に海猫島に接近していたのだ。不用意に張った帆に風が吹き付けた。あっという間にアイヘルスキ家のフロッグフット号が岩に乗り上げ、転覆した。それをよけようとしたランソン家のロッケンロール号もバランスを失い、転覆した。
密集しすぎて操船の自由がきかない船団は、パニックに陥った船員を乗せて将棋倒しのように転覆してゆく。水中の船員を船に引き上げようとして転覆する船もあった。
「落ち着け！ 島からロープを投げるんだ」アンドリュー・サイサリスが、まだ浮かんでいる船の船長に呼びかけた。フェルナンデス家のムルキラ号、沖田家のグリーンサンスター号、それにサイサリス家のアイシャガ１番号が次々と海猫島の入江に上陸する。彼らはしっかりと足場を固めると、ありったけのロープを湖にむかって投げた。いち早く末っ子のフローラを抱いて海猫島まで泳ぎついたアリス・マクリーンは、ジェニファー・ジョーンズと並んで救助活動を指揮した。ジェニファーは生意気な奴だと思っていたのだが、肝玉は座っているようだ。動じることなく、泣きじゃくる幼い者達を元気づけるジェニファーの姿に、アリスは彼女を見直した。
溺れた者はなかった。アリスは全員に水着への着替えと焚火の用意を命じた。夏とはいえ、濡れた服のまままでは身体に悪い。転覆した船は１０隻にものぼった。座礁した船も３隻ある。だが、どの船も壊れてはいないようだ。とんだレースになってしまったが、これで夏休みがふいになってしまうことはないだろう。なんといっても、誰も怪我ひとつしていないのだから。
燃え始めた焚火を皆が取り囲んだ時、遠くからよく響く声が聞こえてきた。ドロシー・ミリアンの連絡を受けてボートでとんできた両親達だった。
「総員帽振れ！」アリス・マクリーンが命じた。遭難しかけた探検家達は、輝く朝日を背中一杯に受けながら両親達に力一杯手を振った。
第６章 海猫島の秘密
たしかに一騒動が持ち上がった。子供達だけのキャンプを続けさせてよいものかと、両親達の間で議論が紛糾したのである。
子供達の意見は決まっていた。我々は、いくらかの不注意があったにせよ、大半の船が転覆するような事件はあったにせよ、それにちゃんと対処したし、誰一人として怪我も病気もしていない。我々の探検は続けられるべきだ。それに、大人達に向かっては大きな声では言えないが、探検に多少の危険はつきものではないか。
千夏・タレイランの父、ダグラスは子供達の味方だった。彼が中心となって他の大人達を説得し、子供達がそわそわと見守る中、話し合いは決着した。ダグラスは疲れた顔をほころばせ、子供達に告げた。これまで通りにキャンプをしていい。ただし、夜はもちろん、霧の中の帆走は禁止。探検計画は、その実施の前に行き先を大人に知らせておくこと。子供達は歓声を上げた。
でも、謎は残った。
ダグラス・タレイランは、あの転覆騒ぎの日、真っ先に駆け付け、子供達の数を確認しながら、キャンプは一時中止しなければならないと最初に宣言した大人なのだ。それがなぜ、急にキャンプ存続派になったのだろう。
その答は、千夏が知っていた。
ベースキャンプから湖をはさんで向こう岸に見える山（キリマンジャロ）への登頂を終えた日の夜、大きなキャンプファイヤーを囲んだ登頂祝賀パーティの最中、誰からともなく口にされた疑問に千夏が答えた。
「アーサー王の岩の下に名前が彫ってあったの」と、千夏が言った。岩の北側の根っこの部分に何か模様のようなものが見えたため、彼女は手で掘ってみたのだという。そこには彼女の父、ダグラスの名前と他に３〜４人の名前、それに日付があった。そして、もうひとつ“嵐”という文字も。
千夏がお母さんに尋ねてみたところによると、そこにあった名前はお父さんが今でも親しくしている友人達のものだった。千夏は小さく折り畳んだ紙を広げ、キャンプファイヤーの炎に照らして名前を読み上げた。
「あ、それってうちのお父さんだ」
「私のお父さんもいる」
みんなに筋書きが見えてきた。長男のジャン・タレイランが話を引き継いだ。２０年前、この湖でキャンプしていた子供達のグループが無謀にも嵐の日に海猫島に航海しようとして沈没、大騒ぎになったことがあるのだという。彼らは嵐の中、海猫島に泳ぎつき、そこで嵐が去るのを待った。
「その話、どこで聞いたんだい」と、リファート・マーニが聞いた。ジャンはくすくす笑いながら答えた。
「ほら、ぼくらが毎朝通ってるブラントウッド農場さ」
「じゃ、彼らもここでキャンプしてたのか」
「そうらしい。そう言えば、ここをキャンプ地として借りてくれたのもお父さんだった。千夏がお父さんに、海猫島でお父さんの名前を見つけたと言った時のお父さんの顔ったらなかったよ！」
キャンプ全体が笑いに包まれた。
「さあ、みんなパーティーは終わりだ。片付けて早く寝ろよ。明日は南極探検で早いんだ」と、探検隊リーダーのダンテ・フェルナンデスが皆に告げた。夏休みはまだ１週間ある。探検すべき場所はまだまだ多いのだ。
マスターからのコメント
予告とはシチュエーションを変更しています。
１回限りのゲームですので、あらかじめストーリーを用意しておいて、それに添ったアクションをプレイヤーに求めるという通常の手法はほとんど使えません。数値データと台詞、それに自由記入されたアクションを手掛りに物語を構築することになります。
今回のバンジーで、マスターが秘かに待ち望んでいたアクションは「海猫島」に関する記述でした。子供達が冒険の舞台と見なしている海猫島について、あなたにとってそこはどんな島なのか。
４人の方にこの種のアクションがあり、彼女らに栄えある先発隊をお願いすることになりました。また、ドロシーさんの「両親への通報」マギイさんの「アーサー王の岩」千夏さんの「お父さんの記念碑」は物語を構成する上での重要な骨格となりました。
◎ルールの詳細について
１）船の分割と統合
運命数の下１桁が同じ人は同じ船に乗り込むことになるが、人数が６人以上になる場合は、これを２〜５人となるように船を分割する。分割は年令順にそれぞれの船に振り分けてゆく。
１人しかいない船は、最も少ない船（２〜４人）で運命数の下１桁の順で最も近いと統合する。
２）到着許容範囲
海猫島までの距離から「-5」までを到着許容距離とする。
この範囲を越えると衝突して沈没、この範囲に届かないと漂流して沈没することになる。
３）勇気補正
帆走距離が海猫島の到着許容範囲を越える場合、船の平均勇気値が平均判断値以下であるなら、帆走距離に「平均勇気値×0.1」のマイナス補正が発生する。
４）経験補正
帆走距離が海猫島の到着許容範囲に届かない場合、船の平均経験値が平均判断値以下であるなら、帆走距離に「平均経験値×0.1」のプラス補正が発生する。
５）風の影響
船の乗組員の運命数の合計に、全プレイヤーの運命数総和を足し、下２桁を最終運命数とする。「（最終運命数−50）×0.1」が風の影響となる。
◎幻の旗艦
最初にデーター処理した時、驚くべきことに、最も経験が浅く最も蛮勇の船であったジョーンズ家のカルディネア号が旗艦となってしまった。あまりにも劇的な結果で、傑作なシーン描写が次々と思い浮かんでいたのだが、再計算してみて気がついた。
タレイラン家のウェンディ号の乗組員をすっぽり抜かして数え、プレイヤーの合計を間違い（59→54）、海猫島までの距離を誤って算出（56.86→62.13）していたのだ。
全体として、皆、飛ばし過ぎだったようだ。結局、１位となったフェルナンデス家のムルキラ号は最も低い帆走距離を出した船だったのである。
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